ふるさと納税は、寄附した金額のうち一定の限度額までは「寄附額-2,000円」が所得税と翌年度の個人住民税から差し引かれる制度です。寄附先が5団体以内で、各自治体にワンストップ特例の申請書を出してあるなら、原則として確定申告は要りません。逆に確定申告をするなら、寄附金受領証明書のデータをマイナポータル連携で申告書に自動入力できます(国税庁「ふるさと納税をされた方へ」)。
この記事は2026年8月時点の情報です。国税庁が公開している最新の確定申告特集は令和7年分(2025年分)のもので、令和8年分(2026年中の寄附)の申告期間や画面の細部は改めて公表されます。手続きの直前に必ず最新の特集ページを確認してください。
ワンストップ特例で終わる人と、確定申告が必要な人
国税庁は、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内で、各寄附先の自治体にワンストップ特例の申請を行った方は原則として確定申告は不要と案内しています(この場合、所得税の控除額も個人住民税から控除されます)。ただし同ページの「ワンストップ特例の適用確認シート」で「ワンストップ特例の適用ができません」となった方は、所得税・個人住民税で寄附金控除を受けるために確定申告が必要です。自分がどちらかは、シートの質問に沿って確認するのが確実です。
同じ寄附でも、ワンストップ特例と確定申告では「どの税がいつ軽くなるか」が違います。
| 手続き | 所得税 | 個人住民税 |
|---|---|---|
| ワンストップ特例(5団体以内・各自治体に申請書を提出) | 所得税からの控除は発生しない | ふるさと納税を行った翌年6月以降に納付する住民税の減税という形で控除 |
| 確定申告(所得税及び復興特別所得税) | 寄附金控除として所得税から控除(納めすぎていれば還付) | 所得税のほか、翌年度の個人住民税からも控除 |
住民税側の控除のしくみ(住民税の寄附金税制)については、国税庁のページから総務省の解説ページが案内されています。控除の上限額は収入や家族構成によって変わるため、自分の限度額はこちらで確かめてください。
マイナポータル連携で自動入力できるのは「対応している発行元の寄附」
マイナポータル連携を使うと、寄附金控除に使える寄附金受領証明書等のデータをマイナポータル経由で取得し、申告書の該当項目へ自動入力できます。証明書を紙で集計する手間も、保管の手間もなくなります。名古屋国税局の案内でも、この連携の利点として「ふるさと納税を確定申告書に記載し忘れることがない」「受領証明書の管理・保管が不要」という点が挙げられています。
ただし万能ではありません。国税庁「マイナポータル連携」の説明ページでは、ふるさと納税(寄附金控除)のデータを取得するには控除証明書等の発行主体がマイナポータル連携に対応していることが必要で、データを取得できる時期は発行主体ごとに異なると説明されています。使った寄附サイトが対応していない、あるいは自治体へ直接申し込んだ寄附は、連携で降りてこない可能性があります。その分は手元の受領証明書を見ながら手入力することになります。
また、連携は申告書を作り始める前の事前準備が前提です。国税庁は、マイナポータル側の「確定申告の事前準備」ページで設定を済ませてから、確定申告書等作成コーナーで作成を始める流れを案内しています。準備の手順は動画でも公開されており、ふるさと納税の入力方法そのものを解説した動画もあります(いずれも「ふるさと納税をされた方へ」からリンクされています)。申告期に入ってから慌てるより、寄附サイトの明細が出そろう時期に一度試しておくほうが早いです。
e-Tax送信の前に点検する3つ
国税庁「e-Taxの利用方法」によると、作成コーナーで作った申告書をマイナンバーカードでe-Tax送信するのに必要なものは、①端末、②マイナンバーカード、③カード発行時に自分で設定したパスワード2種です。
③のパスワードは2つあり、役割も文字数も違います。利用者証明用電子証明書は数字4桁、署名用電子証明書は英数字6〜16文字です。どちらか分からなくなっている場合は、送信当日ではなく事前に市区町村の窓口で確認・再設定しておくほうが安全です。
①の端末は、送信に使う機器によって必要なものが変わります。
| 送信に使う端末 | あわせて必要なもの |
|---|---|
| スマホ | マイナンバーカード読取対応のスマホ |
| パソコン・タブレット | マイナンバーカード読取対応のスマホ、またはICカードリーダライタ |
いずれの場合も、マイナンバーカードでe-Tax送信するには「マイナポータルアプリ」のインストールが必要です。読取対応の機種かどうかは、マイナポータルの「よくあるご質問」から確認できます。なお名古屋国税局の案内では、スマートフォンのマイナンバーカード(スマホ用の電子証明書)を利用すれば、カードをスマホで読み取らなくても申告書の作成・e-Tax送信ができるとされています。
見落としがちなのは「有効期限」
期限が切れたマイナンバーカードや電子証明書では、カードを利用したe-Taxによる申告手続等ができません。区分は次のとおりです。
| 区分 | 有効期限 |
|---|---|
| マイナンバーカード(発行時に18歳以上) | カード発行から10回目の誕生日まで |
| マイナンバーカード(発行時に18歳未満) | カード発行から5回目の誕生日まで |
| 2022年(令和4年)3月31日までに交付申請された20歳未満の方のカード | カード発行から5回目の誕生日まで |
| 電子証明書(年齢にかかわらず) | 電子証明書の発行から5回目の誕生日まで |
カード本体が10年有効でも、中の電子証明書は5年で切れるのがポイントです。2020〜2021年ごろにカードを作った人は、そろそろ更新の時期に当たります。更新手続や期限の詳細はデジタル庁のページで案内されています。
申告書に書き忘れたと気づいたら「更正の請求」
ここが実務で一番多いつまずきです。名古屋国税局の「『ふるさと納税』を確定申告書に記載し忘れた場合」(PDF)は、提出した確定申告書にふるさと納税を書き忘れた場合は「更正の請求書」の提出が必要だと明記しています。更正の請求とは、確定申告期限後に申告書に書いた税額等の誤りを見つけた場合などで、申告した税額が実際より多かったときに正しい額に訂正することを求める手続きです。
提出方法は2つ。スマホ等から確定申告書等作成コーナーで更正の請求書を作成してe-Taxで提出するか、書面で作成して持参または送付します。作成コーナーでは、トップ画面下部の「提出した申告書に誤りがあった場合」→「新規に更正の請求書・修正申告書を作成する」→「作成のステップについて」で次へ→「作成する年分・提出方法等の選択」で年分を選ぶ、という順に進みます。
添付書類は次の2つです。
- 寄附先の地方公共団体から送付された「寄附金受領証明書」
- 本人確認書類の写し(窓口で本人確認書類を提示した場合、またはe-Taxで提出する場合は不要)
注意点として、当初の申告に加えてすべての所得控除等を再計算する必要があります。PDFの例では、当初は医療費控除だけで申告していた人が、医療費控除と寄附金控除(ふるさと納税分)を再計算する形になっています。控除の計算そのものが気になる方は、医療費の窓口負担側を軽くする高額療養費制度の自己負担限度額と申請手順も併せて確認しておくと、その年の医療費の全体像がつかみやすくなります。
戻る金額は「自分の税率」で決まる
PDFの記載例は、令和8年3月13日に提出した確定申告書でふるさと納税(3件、30,000円)を申告し忘れたケースです。寄附金控除の額は「寄附金の合計額-2,000円」なので、この例では28,000円が控除に加わります。控除が増えた結果いくら戻るかは、課税される所得金額に対応する税率で変わります。PDFに掲載されている所得税の税率表は次のとおりです。
| 課税される所得金額(円) | 税率(%) | 控除額(円) |
|---|---|---|
| 1,000 〜 1,949,000 | 5 | 0 |
| 1,950,000 〜 3,299,000 | 10 | 97,500 |
| 3,300,000 〜 6,949,000 | 20 | 427,500 |
| 6,950,000 〜 8,999,000 | 23 | 636,000 |
| 9,000,000 〜 17,999,000 | 33 | 1,536,000 |
| 18,000,000 〜 39,999,000 | 40 | 2,796,000 |
| 40,000,000 以上 | 45 | 4,796,000 |
つまり同じ3万円の寄附でも、所得税から戻る額は課税所得の区分次第で変わります。残りは翌年度の住民税で調整されるため、「所得税の還付額が小さい=損」ではありません。なお、まだ確定申告書そのものを提出していない場合は更正の請求ではなく通常の申告書の作成になります。どちらに当てはまるか判断がつかないときは、国税庁のチャットボットや所轄税務署で確認してください。
返礼品を受けた場合の一時所得
もう一点、国税庁のページに小さく書かれている注意があります。ふるさと納税をされた方が地方公共団体から謝礼を受けた場合には、一時所得として課税関係が生じることがあるという点です。高額の寄附を繰り返した年や、生命保険の一時金など他の一時所得がある年は、この扱いを税務署に確認しておくと安心です。
2026年中に寄附した人が、いま済ませておけること
2026年(令和8年)中の寄附は、翌年の確定申告またはワンストップ特例の対象です。申告期が来る前に、次の3つだけ片付けておくと当日が短くなります。
- マイナンバーカードと電子証明書の有効期限を確認する。電子証明書は発行から5回目の誕生日まで。切れていれば市区町村の窓口で更新します(カード・本人確認書類を持参)。
- パスワード2種を思い出しておく。数字4桁(利用者証明用)と英数字6〜16文字(署名用)。分からなければ窓口で再設定を。
- 寄附サイトがマイナポータル連携に対応しているか、寄附金控除の証明書データがいつ発行されるかを確認する。対応していない寄附分は、紙の寄附金受領証明書を捨てずに保管しておきます。
そのうえで、スマホにマイナポータルアプリを入れ、マイナポータル側の「確定申告の事前準備」を済ませておけば、申告開始後は確定申告書等作成コーナーで連携→自動入力→e-Tax送信まで一続きで進められます。制度の細部や画面は年分ごとに更新されるため、実際に作業する時点で国税庁の最新の確定申告特集ページを開いてから始めてください。